2012-06-01から1ヶ月間の記事一覧
音律を探り苔むす石段を昇る 蹴飛ばしに穿たれた眼差しは物憂げに 私の息遣いを見透かしたか野鳥の羽ばたき
巻貝の優しげな歌声を聴く 潮騒から遠く離れた私の部屋で 波の高さに軋む遥か遠くを望む
指で描いた青空 草叢の息吹を放り投げ 脚の付け根であぜ道を探る
海辺の眼差し 逃げ場のない熱風に煽られては 貝殻の密やかな呟きを弾く
揺れ動く ゴンドラの隙間で 秋茄子を炒める
闇を赤い糸で縫いつなぎ 誰のためにか 過ちの重さを胸に畳む
それぞれの事情 耐え切れないとしても 他人には他人事
真夜中の台所 血の滴る明日葉を 口に含む
振りかぶる 吐息の行方を 打ち鳴らす
問い詰めたとしても 黙したままで刹那を渡る そんな幸せもある
拒む爪先で 水平線を遮り 歓びに震える唇を噛む
思い出の首根っこ 掴んだつもりで 賄い場に立つ
ふやかした 矩形の大理石で 血の一滴を啜る
横入り してもされても 朝の顔
機を織る あなたのうなじで 蜜を吸う
棺おけに 眠るばあやは 雨傘を差す
網棚に 忘れてやった 河童の落書き
缶けりの缶 夕日に蹴られ お池で眠る
さみしかないよ 背中は呟き 星空を仰ぐ
きつねの影絵 コンと鳴いたか 尻尾で笑う
秤じゃ量れない 汗を拭って 重さにあえぐ
遠いんだね 遠くは無いさ 日暮れまで
焼きたてのパン 焼きたての空 おへそでカラスが鳴いている