2012-08-18
越えられなかったはずの壁を越えていた 振りかえったとしても何も見出せず そこにあったのは静けさを取り戻した浜辺を掠める海鳥の翼 これで良かったのか 虚しさに似た思いを捨てきれず 赤く焼けた腕をさする
2012-08-17
なんだかなと思ってるうちに溜まりだす 台所のゴミといっしょだな せっせとレジ袋に詰め込んだら 旅に出るのが常套なんだろうけど 訪れがあれば去り行く後姿に萌えたりして 押入れから赤いザックを引っ張り出す
2012-08-16
柱の上を虹鱒が泳ぐ 風上に頭を向け 流れてくる雲を捉える 未来なんか要らなかったのだ 寄せ餌にと撒いた青空は 柱の上で秋風に揺れる
2012-08-15
遠くのほうから声がしたけど 聴こえないふりして 運河に架かった橋を渡る 西日に輝く水面は眩しくて 私はひとりだってことを忘れさせてくれる 寂しさとは違うけど 渡りきるには未だ早いから 日暮れ前 秋の予感と戯れる
2012-08-14
ダイスを転がすまでも無く 君と僕の人生は決まっていたのだから スポットライトの途絶えたリングの上で ふたり肩を組んで健闘をたたえ合うことに どれだけの意味を見出せば良いのだろう
2012-08-13
伸ばした手のひらをすり抜けるように グラスのなかで氷が弾けた 君と一緒だね ふちに付いた口紅を小指で拭い ふたりの間には何もなかったような顔して 物憂げなため息ひとつ そんな夜もあって良いものだと 満月はそ知らぬ顔して雲に隠れた
(Full ver.)
2012-08-12
流れ星のかけらを拾った気がして あなたに逢えるかもなんて期待してみる 真夜中の噴水は小便小僧の寝顔みたいで 外灯下のベンチに座り あなたのくれた指輪にふれる